異邦人

中郎は雑巾のようなスーツを着ている。誰に命じられてスーツを着ているか不明である。仕事の内容からしてジャージでいいのではないかと思う。しかし凝りもせず毎日スーツを着て出勤するのだ。ベルトは下を向いている。何を食べるとあんなにお腹かが突き出るのか不思議である。社会に何の利益をもたらさないくせに、顔は横柄にだらしなく自己主張していている。
顔に「私の人格は歪んでいます。」と書いてある。本人は気づいていない。我先にと地球資源を無駄遣いし、貧しい子供たちのご飯を食いあさる。

ある日、車を運転していた中郎は小学生の列に突っ込んだ。小学生の一人は複雑骨折をして全治3か月となった。当然のごとく裁判にかけられる。色白で端正な顔立ちをした裁判官から質問された。
「裁判所からお聞きします。あなたは今日ここまで何できましたか。」
「電車できました。」
「電車は混んでましたか。」
「はい。」
「電車の中であなたの突き出たお腹が邪魔になっていることに気づきましたか。」
「邪魔と言いますのは。」
高潔な裁判官は言葉を浴びせた。
「あなたは無駄飯を食べてお腹が突き出でいます。混んでいる電車の中では、そのお腹が幅をとり周りに迷惑をかけているのです。」
中郎は沈黙した。
「迷惑をかけている意識がないのですね。それに、あなたは周りの人に触れても謝りもしない。あなたは生きる価値がありません。」
重苦しい空気が流れる。
「あなたは月にいくらの給料をもらってますか。」
「35万円です。」
「裁判所では、あなたの存在価値を計算しました。あなたの生きる価値は月額に換算するとたったの2万円です。なのに35万円も給料をもらえている。何故だか分かりますか。」
中郎から言葉はでない。

不条理とは何か。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です